インフォームドコンセントについて

医療に関わる方であれば、インフォームド・コンセント(Informed Consent)の言葉自体はよくご存じかと思います。また、一般的にもある程度馴染みのある言葉になっているかもしれません。インフォームド・コンセントは、医療行為に際しては十分な説明に基づく患者の同意を得なければならないという原則ですよね。

例えばメスで切開を行う行為については、身体への侵襲を伴う行為ですので、刑法上の傷害罪に形式的には該当する行為です。しかし、診療目的に合致し、手段として正当であり、患者自らが医療行為を受けることに同意している場合(インフォームド・コンセントが適切に行われている場合)には、正当業務行為(刑法35条)として違法性がなくなります。もっとも、適切にインフォームド・コンセントがなされていないと、仮に行われた手術自体に何の落ち度がなかったとしても、説明義務違反との理由で患者からの損害賠償請求が認められることもあります。

このインフォームド・コンセントについては、十分に準備をし、適切な判断を行う必要があります。中でも医師の方に御注意をいただきたいのは、説明方法と同意の中身です。説明と同意は、単に形式的に書面を交付して署名をしてもらったというだけではなく(もちろんこれらは行われていることが望ましいです)、①患者が自らの意思で医療行為を受けるかどうかを決定するために必要な説明が行われることと、②患者がその説明内容を十分に理解することができたことが必要となります。

一般の患者さんは、専門用語など難しい言葉はよく知らないことが多く、「(分からないけど)先生にお任せします!」となってしまうことが多いかと思います。しかし、後に懸念していたリスクが具体化し、悪い結果が生じた場合には、そのリスクについて理解していなかったとの主張を受けることがあるのです。これを回避するためには、㋐患者さんの理解力に応じて説明文書に加えて口頭での説明を加えること、㋑患者さんよりしっかりと質問を受ける機会を確保すること、㋒いただいた質問については患者さんに理解できるように丁寧に説明することと、㋓これらについて記録をしていただくことが必要となります。できれば説明の際には、医師のみでなく他の職員にも同席してもらい、記録をしていただくとよいですよね。

当事務所では、このような医療分野についても様々な情報を整理し、皆様に提供させていただきたいと考えております。実際の運用においては、インフォームド・コンセントをとってみても職員の対応の方法や記録の作成方法、患者さんが未成年の場合や判断能力に欠ける場合への対応など様々な課題が生じます。かなで法律事務所の弁護士と一緒に、運用方法について一緒に考えてみませんか。