不当なリベートを求められたときの対応

例えば、取引先の担当者さんから、「請求書の金額を一般の販売価格より100万円高くしてもらえませんか。差額は私個人にいただけませんか(または、お互いに分けましょう)。」などと持ちかけられることがあるかもしれません。さて、このような場合にどのように対応するのが法律上適正なんでしょうか。問題があるとすればどのような問題でしょうか。

業界によって表現が違うかもしれませんが、リベート、キックバックなどと呼ばれるものですね。一定の取引が成立するのは営業担当者としては嬉しいことですが、なんだか悪いことに加担することにならないか不安になりますよね。もちろん、リベートの中にも両社の関係性を良好の維持する目的で、多額・大量の取引をした得意先に対して、後日売上金から差し引いたり現金で支払うような場合には、(独占禁止法上の排他的取引と評価されない限りは)問題とはなりません。

しかし、両社の会社間に明確な合意がなく、担当者がご自身の個人への支払いを求めてくるような場合には、その担当者は買主側の会社に対する背任罪が成立しえます。そして、その担当者は民事上も不法行為責任を負うこととなります。また、売主側の担当者も、買主側の会社に損害を与えることとなることは分かりますから、そのような取引をすると買主側の会社から不法行為責任として損害賠償請求を受ける可能性も発生します。

このため、設問のような場合、売主側の担当者も不法行為責任を負う結果となりえますので、取引関係を悪化させないよう配慮はしつつも、例えば「申し訳ございません。弊社では、会社の方針として担当者個人の方へのリベートの提供はお断りする方針となっております。」と明確にお断りしましょう。問題のある取引関係を続けなければお付き合いのできない取引先であれば、その取引で一時的に経済的に利益があったとしても潜在的に会社としての大きなリスクを抱えてしまうこととなります。