労使トラブルの予防について

 どのような事業体であっても、人を採用して仕事を行ってもらう以上、労使関係が悪化すれば労使トラブルは発生しえます。

 もっとも、小規模な事業者さんの場合、採用時やその後の労働者との取り決め内容について、わざわざ書面を取り交わすことが少ないですよね。労使関係が円滑な間は特に問題は生じませんから、これまでの事業主さんの経験から特に変更の必要性がなかったのかもしれません。

 しかし、その後退職した従業員から、予想外の残業代請求を受けたり、採用時に説明した内容と異なる採用条件だったとして争われることがあります。また、期間を限定して雇用していたはずなのに、その更新を断ると違法な解雇だなどと主張を受けてしまうこともあります。雇用を行う場合には、労働法上労働者を保護する様々な制度の適用があります。書面などで不明な部分があれば裁判手続の中では労働者に有利に解釈がなされたり、相応の譲歩をした内容の解決を求められることがあるのです。

 このため、できれば従業員との間で了解を得たり、取り決めを行う場合には、その内容をしっかりと後から見て分かるように書面化しておくことが重要です。書面化していればお互いに合意内容を確認できますし、不必要なトラブルも防止できる可能性が高まります。書面の記載内容などお困りの場合には、ご遠慮なく当事務所にご相談下さい。